【泥をかぶる決意を示した!? つちや龍一郎さん】市長選討論会を読み解く|『全部言います!』小泉一真の市議会トーク

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2021/10/23

【泥をかぶる決意を示した!? つちや龍一郎さん】市長選討論会を読み解く

青年会議所が開催した、長野市長選挙立候補予定者討論会。登壇した荻原健司さんと土屋龍一郎さんのそれぞれの主張を、読み解きます。
    主催者に敬意
    実直な人柄
    泥をかぶる!? 決意のサプライズ
    実現可能性の高い土屋氏政策
    荻原氏の土俵でも渡り合う
    小泉所感
※前編
【トップセールスで何でも解決!? おぎわら健司さん】市長選討論会を読み解く


主催者に敬意

討論会主催者に敬意を示し、クレジット。
令和3年長野市市長選挙立候補予定者公開討論会
【日時】令和3年10月18日
【コーディネーター】小宮山 知紗
【主催】長野青年会議所・南長野青年会議所
【主催者提供公式映像】

 

 実直な人柄

まず、全体の印象と総論を。
 土屋龍一郎氏と荻原健司氏のキャラクターは対照的。さすがにこの4年間の土屋氏の地道な浸透ぶりを見て、対抗勢力は真逆の人格をぶつけてきた。選択の幅がひろがったことは、長野市民にとって喜ばしい。
 土屋氏の語り口は「実直」の一語だった。派手なパフォーマンスや、十分な根拠もなく「自分にしかできない」と言うことはしない。それでいながら、2時間の討論会に原稿なしで臨むという、勇気を見せた。十分な政策の準備があるという自信、ありのままの自分を市民に見せるという信念だろうか。真っすぐに聴衆を見据え、自分の言葉で政策と理念を伝え続けた。


発言の冒頭に必ず「土屋龍一郎です」と断りを入れるのはシツコいとの声が、一部にあるようだ。だがこれは、討論会主催者が求めたルールだという。討論会では、リアルタイムで字幕サービスをつけており、字幕に集中している人にとっては、名乗ってもらうことが、確実に発言者を認識する方法となる。荻原氏のように名乗りを省いた方が、制限のある発言時間を節約できるし、「イチイチ自己宣伝、うぜー」と思われずにすむ。しかし土屋氏は、そうしたデメリットは甘受しながら、主催者の設定したルールと、聴覚障害者というマイノリティに敬意を払い続けた。
 

 泥をかぶる!? 決意のサプライズ 

土屋氏が長沼の災害公営住宅建設について、次の様に言及したことには、驚いた。 

「住民との対話について、再度話し合う場を設ける」
「結果を尊重することは大切ですけれども、これまでの経緯の中から見ると、すれ違っている部分が非常に多く感じる」 

 長沼災害公営住宅は、台風19号災害で住家を失った長沼の住民が建設を求めていて、加藤市政における政治課題だった。今月9日、長野市は発災以来2年もの検討の末、「浸水対策などの安全確保が難しい」と、ようやく建設断念を住民側に伝えている。市を信頼し、待ち続けた被災者の気持ちは、如何ばかりか。


被災住民が長沼住宅建設の実現を待ちきれずにあきらめるよう、加藤市政が結論を先延ばしにしてきたように、小泉には見えた。建設するにしろしないにしろ、長沼住宅の問題は、次の市長に先送りしないようにと議会で求め、一応の決着をみたと思っていた。
しかしそれでは十分でないと土屋氏は言うのだから、唖然とし、自分の不明を恥じ入るよりない。対応を一歩誤れば自分自身が政治的なダメージを負いかねないのに、土屋氏は、長沼住民に市政不信を抱かせてしまった点、現職加藤市長の失点を、修正したいらしい。 
必要なら、泥をかぶるリスクがあろうとも、住民と話し合う。現職加藤市長とも、その後継を自称する荻原氏とも異なるリーダーシップの道を、土屋氏は示そうとしているのか。そうであるなら、土屋氏の唱える市政転換とは、市民に寄り添うためには自分の骨身も削るということだ。小利口な政治家が考えつくことではない。

実現可能性の高い土屋氏政策

土屋氏が唱えた政策は、荻原氏に比べれば、相対的に実現可能性が高い。こう言うと、土屋氏への対抗勢力は財源を持ち出して論難するかもしれない。
では、ソリ系以外の競技も長野市で開催するという、荻原氏の「SAPPORO 2030 競技分捕り」政策はどうなのか。スパイラル再整備は札幌が担当することになるが、ソリ系以外の競技会場整備や選手宿舎の建設等のコストはどうする。その前に、札幌市やIOC(国際オリンピック委員会)との交渉という、不確定な要素がある。このように、財源の問題もさることながら、相手方との交渉を要し、長野市だけの意思では実施できない「交渉型政策」は、相対的に実現可能性が低いといえるだろう。
土屋氏が討論会で示した政策は、長野市だけで完結する手堅いものが多く、その分実現可能性は高まる。「長野市経済の再興」のテーマの元で語られた地域循環型経済は、その最たるものだろう。
須坂のイオンモール出店を長野市経済にどう生かすかという問題設定に対し、荻原氏は「脅威」と対抗心を露わにするだけで、活用策を示せなかった。一方、土屋氏は次のように語っている。

「長野駅からエム・ウェーブを通ってイオンモールまでの、エムウェーブ大通りが大きく変わっていく。都市化する可能性がある」
「既に荒廃地となったところ(農地)についての土地の活用、農振地の転用など、長野市行政が取り組むべき仕事がある」

エムウェーブ大通沿いの低利用地 ((C)Google)

市外から発した問題でも、長野市域に落とし込み、自ら取りうる政策を示す。荻原氏との姿勢の違いがうかがえて興味深い。
市の立地適正化計画の変更は独力でできるし、市の都市計画の変更については、長野県との調整手続きは法で明示されている。土屋氏が指摘する地域の市街化調整区域は、すでにかなり都市化が進んでいるという現実もある上、須坂側で開発が進むという新たな事情も加わる。エムウェーブ南部地域では既に市が産業用地として開発する方針を固めたという背景もある。エムウェーブ大通り沿線の開発は、首肯できる政策だ。

長野市都市計画図から引用。中央薄紫着色がエムウェーブ。白地は市街化調整区域
荻原氏は、討論会で農産品のセールス、企業誘致及び各種イベント誘致(SAPPORO 2030競技分捕り含む)を荻原氏がトップセールスで実現すると発言しており、これらも交渉型政策と言ってよいだろう。どれも「やってみたが十分な成果が上がりませんでした」で、終わるリスクは排除できない。 

荻原氏の土俵でも渡り合う

荻原氏は、「社会インフラ整備」の討論テーマを指定した上でトップセールスで自らイベント誘致を行う意向を示し、オリンピック施設の有効活用について「何か他にいいアイディアがあるか」と土屋氏を挑発し、逆襲に逢っている。

「株式会社エムウェーブの社長として、長野市で一番大きな施設であるエム・ウェーブの管理運営をしてきた」
「ジャニーズ系の一つのグループがエムウェーブでコンサートをやると、長野市内に4億円以上の経済効果があることを証明した」
「これからのオリンピック施設については十分活用の可能性がある」

コンベンションの実績を示された荻原氏は、オリンピック施設活用について「アイディアはたくさん持っている」と主張してみせたが、具体的なアイディアは示せなかった。

エムウェーブ ((C)Google)

荻原氏はよほど悔しかったのか、「スポーツ振興」テーマで再び「スポーツを通じた元気で明るいまち作り。これは本当に私にしかできない」とした上で、「このまちから世界に通用する、そしてオリンピックで通用するそんな選手を輩出していきたい」と挑戦。

「来年行われる北京での冬のオリンピックに、既にスピードスケートでは、長野市出身の選手がエントリーすることが見込まれている」
「私は長野市のスポーツ協会の会長を務めていた。長野市の外郭団体であるスポーツ協会と連携することで、各種のスポーツがこれから活性化することができる」

このように土屋氏から冷静に対応され、焦りからか荻原氏は「SAPPORO 2030競技分捕り」政策を口走ってしまうのだ。

小泉所感

土屋氏はフェアな人物だから敢えて言わなかったようだが、どうしても腑に落ちないので、敢えて小泉から指摘したい。
荻原氏は長野県教育委員会委員の職を、2015年10月から今年8月までの間、勤められている。県教委は、小学生のウィンタースポーツ選手強化事業「SWANプロジェクト」を所管しており、「未来の冬季オリンピックメダリストを見出し、育成すること」を目的としている。
荻原氏は長野市から国際的な選手をもっと輩出したいらしいが、それは県における6年間、荻原氏のSWANプロジェクトへの取組が不十分だったということになりはしないか。県教委委員という立場からも、アスリートの経験からも、SWANプロジェクトで荻原氏が実地に指導する等で貢献できる処は大であったはずだが、なぜその経験と実績を示し得ないのか。
調べてみたが、SWANプロジェクトでの荻原氏の活動は、記念講演程度しか分からなかった。ぜひ県での実績を示し、長野市で「私にしかできない」と主張される理由を示していただきたかった。

総合的に見たとき、政治家としての成熟度は、土屋龍一郎氏が荻原健司氏に優っているというのが、小泉の所感となった。

10月31日は長野市長選挙・衆議院選挙投票日です。
投票に行きましょう!!



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